パキポディウムについて
パキポディウム(Pachypodium)はマダガスカルおよびアフリカ原産のキョウチクトウ科パキポディウム属の塊根植物です。ギリシャ語で「pachy=太い」「podium=足」を表し、名前のとおりに太く肥大化した幹が特徴です。太くなった幹は乾燥地でも生育できるように水を蓄えることができます。
パキポディウムの特徴や魅力といえば
- 塊根植物のなかでは比較的育てやすい。
- 同じ形の個体がない。
- 花が可愛い。
といったところでしょうか。
パキポディウムの自生地で知られているのは、マダガスカル南西部にあるイサロ国立公園です。南半球にある国なので季節は日本と逆、5~10月は冬で乾季、11~4月は夏で雨季です。
私が一番最初に塊根植物を育てたのはこのパキポディウムでした。知人からパキポディウムは育てやすいよと聞いてパキポディウム・ラメリーを購入したことがきっかけで塊根沼にはまってしまい、今では他の塊根植物も増えましたが、パキポディウムに限っても何種類かの品種を育てています。

パキポディウムは塊根部分の面白さだけでなく、花や新芽や落葉などといった季節ごとの変化も育てる楽しみのひとつです。
パキポディウムの育て方
パキポディウムにはいくつもの品種がありますが、一般的な育て方を書いてみます。
置き場所
パキポディウムは一年を通して日当たりと風通しの良い場所で育てます。
- 春から秋は屋外管理。日当たりと風通しの良い場所に置きます。
- 冬は5℃以下になるようでしたら室内管理。日の当たる窓辺などに置きましょう。
水やり
パキポディウムの多くは夏型ですので、水やりは夏型に合わせて書いてます。
- 春から秋は鉢内の水が乾いたらたっぷりと与えます。
- 秋になると徐々に水やりの回数を減らします。
- 冬は断水しましょう。
- 葉が出始めたら生長期になりますので、少しずつ水やりを再開します。
肥料
パキポディウムに与える肥料は時期によって異なります。
- 生長期の4〜9月頃は月1〜2回程度与えます。2か月に1度くらいの割合で置き肥を置くか、水に薄めた液肥を2週間に1度のペースで与えましょう。
- 休眠期の10〜3月頃には肥料は与えません。

休眠期は根が動いていないので、肥料を与えると肥料焼けを起こすことがあります。
また植え替え時にはマグァンプKなどの緩効性肥料を用土に混ぜ込んでから植え付けるようにすると、しばらくの間は肥料を与えなくても大丈夫です。

植え替えと用土
パキポディウムは2~3年に一度植え替えるようにします。株が動き始めた4~5月が適期です。
植え替える理由
- 古い根を整理して新しい根が伸びやすくするため
- 用土を新しくして水はけをよくするため
- 株が成長するとバランスを崩して倒れやすくなるので、株に合った鉢を必要とするため
植え替えるときのポイント
植え替える前は1週間程度水やりを控えて土を乾かしておきます。乾かすことで植えてある鉢から抜きやすくなりますし、根が切れてしまうことも防げます。
鉢は株を見てあまり生長していないようであれば同じサイズのものを、大きくなっているようであればひと回り大きいものを用意します。
用土は鹿沼土小粒・赤玉土小粒・軽石小粒などを配合したものに元肥(マグァンプKなど)を混ぜ込んだ水はけのよい用土を使います。配合が難しいようでしたら市販の多肉植物やサボテン用の土でも問題なく育ちますのでお使いになってください。
市販の用土だけでは水はけが悪いような気がする場合は軽石を混ぜると改善します。

パキポディウムはトゲがある品種が多いので、それらの植え替えには園芸用として販売されている革の手袋をして行ないましょう。
育てやすいパキポディウム
たくさんの種類があるパキポディウムですが、品種によって育てやすいものや育てにくいものがあります。その中でも初心者にもお勧めできる品種を2つご紹介します。
ラメリー
ラメリーはパキポディウムの中でも王道で初心者向けの品種です。
幹はトゲだらけで背が高くなり、細く長い葉が上部に生えます。見た目がワイルドでこれぞパキポディウムという品種です。比較的成長が早く日本でも親しまれている品種で、生長期は雨ざらしでも問題なく育てることができます。
ラメリーの特徴ともいえるトゲですが、成長すると(成木になると)成長点付近以外は、トゲが少なくなりつるんとした表皮になってきます。
デンシフローラム
デンシフローラムは別名でシバの女王の玉櫛という名前が付いています。塊根がドッシリしていて力強さを感じさせるフォルムで、こちらも初心者向けのパキポディウムです。
先ほどのラメリーは幹が太くなり、高さも1.8メートル程度に育たないと花を咲かせませんが、デンシフローラムは株が小さくても可愛い黄色の花を咲かせてくれます。開花時期は5~6月頃で、我が家でもその時期になると開花してくれています。
今回、ラメリーとデンシフローラムを紹介した理由は、最初に書いたように初心者向けであること、そしてこの2種類は見た目が違うことにあります。
もし2種類育ててみようと思われたのでしたら、ラメリーとデンシフローラムのように雰囲気の異なるものを選ぶと楽しいと思います。